寄り道は時々

起点

起点は、何かしらが始まる場所、その物の始まりの場所であるとされ、その物は一般的には道路や河川の始まる場所としての起点に馴染みがあります。藤枝市に滝之谷川があり、今回はその起点を偶然訪れました。何か起点と言うと妙にロマンを感じますね。

丁度、時間もあるしランチを食べに何処か行こうと探していたところ、藤枝市に卯ノ木と言うお蕎麦屋さんを見つけました。藤枝市だからちょっとドライブついでに行ってみようと出かけたのですが、これがつづら折りに近い山道の先なんです。幸いにしてこの数キロの山道に一台もすれ違う車が無くて、もし車が来たらこんな道幅いっぱいのところでバックなんてできません。駐車場にバックで入れるだけでも大変なのにどうしようかと思い続けていました。車が来たら丁寧にお願いしてバックしていただくしかないことをシミュレーションしながらの運転です。

果して、その先に卯ノ木は見つかりました。山奥の雰囲気ある佇まいです。ここまで来るとそよ吹く風も下界の暑さを切り捨てた感じがします。

戸を開けて入ると、これも雰囲気ある玄関にマッチしたご主人が出迎えてくれます。当店には、せいろと田舎そば、味噌田楽しかメニューがありませんと説明されましたが、充分でございますと返答、しばらくお待ちくださいと言われて奥の部屋を片付けていただいて入店できました。もうここは何時までも居ても良さそうなゆったり感に包まれています。実際、何時までもごゆっくりと言われて、お食事をお出しするまでにちょっと時間がかかります。良いですよ、何時までも待っていますからと、自然に言ってしまう雰囲気ですね。

この雰囲気、御主人が時間のある時に一つずつ自分で作ったりしているとのこと。並べられた陶器もきっとご自身で作られたものでしょうけど、次回来た時に尋ねるように取っておいて今回は止めておきましょう。

さて、田楽が来ましたよ。そこかしこに咲いている木槿(むくげ)の花をあしらって雰囲気最高ですね。この田楽味噌が今まで味わったことのない美味しさ、今度来た時にどういう物かを聞いてみたいです。今聞いてしまうと次回の楽しみが薄れます。

田楽を頂いて、しばらく待つとやって来ました田舎そば、この田舎そば、独創的ですね。こんな田舎そばは見たことがありません。どこでも田舎そばはそれなりに洗練されたと言うか何かを捨ててしまったようなものですが、この感性は何でしょうね。その昔、下宿のおばさんが、今日は蕎麦ぶった(当時の前橋では蕎麦は、ぶつと言っていた)からね、と言って食べさせてくれた太さに似ていないでもないが、それを上回る規模です。このそばが完璧なまでに茹で上がっている。もうこれは何なんだと言うしかありません。因みにこのお銚子に入っているのは、そばつゆで熱燗ではありません。

そばつゆは、2種類用意されていて、一つはかつお出汁、もう一つは植物だけの出汁、もちろん植物だけの出汁によるそば汁をお願いいたしました。ただ、ちょっと味わったかつお出汁のそばつゆは、これぞかつお出汁だぞと鰹節の香りが満面の微笑みで現れたみたいなものでした。

おそばを頂いた後は、コーヒーをお願いしました。こだわりですね。お砂糖とミルクはお入れできないですが良いですか。もちろん大丈夫です。

お店を出てから少しばかり付近を散歩してみました。直ぐ近くに林道の起点標識がありました。これから先の山道は僕の車では到底登りきらないので諦めましたが、どんな道なのかなぁ。

お店の前の道を少し下ると、滝之谷川の起点標識に出会えました。こうして歩けるところに川の起点があるなんて何だか嬉しくなりました。

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