散文詩と随筆

今日の海

20代の初めの頃

30代の初めの頃

60代の初めの頃

日本海のはずれのところに居たことがある

その中で30代の初めの風景が北を表出していた

今日駿河湾は朝から重い雲が幾重にも重なって

完全には陽を遮ることない灰色のグラデーション

海は何時もの藍色を失い緑色になった重い灰色

波頭の砕けるところだけが何時もの白さをみせた

その様は30代初めの北海の海とほぼ同義語のようだ

その空とその海に厚く閉ざされた全ての音が消える

あの時だって海鳴りは僕の頭の上を通り過ぎて行った

僕はなぜこの重い風景に再び出会ってしまうのだろう

今 駿河湾は30代の初めの頃の日本海と同義語でいる

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