散文詩と随筆

山茶花

落ち着かない日と時間がある

スマホのカレンダーに青色でメモされている予定

僕は医者なのについ体の中の声を荒げてしまう

今日は分刻みで予定が詰まっているんだ

歳を古ごとに重みを増す人生なんてどこにもないのだ

人思う心さえ断片的に散らばっていくのだ

窓の外はびゅうぅびゅうぅと風が横殴りのように木々を揺らしている

こんな日は鳥さえ斜めになって前に進めないで一点にとどまっている

風がことさらのように冬を運んでくる

踏みしめられた枯れ葉が一時の勢いを取り戻したように舞う

散り敷いた山茶花の朽ちた花弁がひとひらだけ枯れ葉に舞う

朽ちようとする僕の心が枯れ葉の中で一瞬でも光を求めていた

僕は医者なのについ体の中の声を荒げてしまう

朽ちようとする花弁がいっときの勢いを求めているように

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