医者のぶらぶら日記

「ホルモン大使とオバリアン侍従」

ねぇねぇ、ホルモン大使、何でわたしにオバリアンなんて名前付けたのよ。

君こそ何で大根のおでんでテキーラ飲むんだ。

これが合うのよ。

それでぇ、何であたしがオバリアン侍従なの、侍従は良いけどさ。

そりゃぁな、タヌキだからだよ。

なぁに、あたしがタヌキぃ、なんか化かしたぁ。

君ねぇ、大化けだろう、ほら、椅子の後ろにしっぽが出てるぜ。

バカ言って、しっぽあるわけないじゃん。

イヤイヤ、タヌキ、オバタリアンから“タ”を抜いてみろ、オバリアンじゃないか。

もぉぉ、大体ね、あんたのホルモン大使だって変よ。

ホルモンは放るモンから来たみたいだぜ、ホルモン大好き、元気バリバリじゃないか。

ところでタヌキの話だな。

違うってぇ、オバリアンよ。

だからぁ、タヌキだよ。

タヌキはなぁ、近頃ヒトの住むところへも出かけてきて、巣穴を作るってぇことだぜ。

繫殖力も旺盛でさ、君さぁ、ヒトの住むところへ巣なんか作ってないだろうな。

なに言ってんの、あたしゃ、そんな巣なんて作りません、第一もう繁殖力無いしぃ。

そっか、オバリアンってのはね、まじめに言うと卵巣のことをオバリーって言うんだよ。

オバリー⁇。

なんで言うのかって、昔の人が名前付けたのっ、ラテン語からって言うけど英語なんだよなぁ。

そぉお、ラテン語からの名前なんて、何と高貴で美しいんでしょう、わたしみたいだなぁ。

ウッ、ともかくそう言うのよ、で、オバリアンってのは“卵巣の”ってことさ。

アンて付くとそれだけでナニナニの、に変わっちゃう、だから君は卵巣にお仕えしている侍従ってことだな。

えぇ、あたしは卵巣の侍従ってことなの、大使の侍従じゃないんだ。

あたしゃ、大使の侍従の方が良いなぁ、もっとホルモン食べなよ。

僕の侍従かぁ、どっちでも良いけど、大根のおでんとテキーラはもうやめようぜ。

ところでさ、卵巣ってのは、強力な女性ホルモンをたくさん作るんだぜ。

君のはもうホルモン作れなくなってるかも知らんけど。

ウゥン、それって今時はやりのセクハラってやつじゃないのぉ。

そんならあんただってホルモン食べるだけでホルモン出てないくせに。

知るか、そんなもん。

いいか、タヌキ、じゃない侍従よ。

ホルモンてやつは、コレステロールが基になってるんだぜ。

へぇぇ、じゃあ、あたしホルモンいっぱい出てるもん。

この前の健康診断でコレステロールがバカ高いって、眼鏡かけてた美人の先生が言ってたもん、お薬飲んだ方が良いって。

だから、あたし、ホルモンいっぱいじゃん。

おいおい、侍従、それとこれとは話は別だぞ、卵巣が働かなくなって更年期になったらホルモン作れないのっ。

オイ、タヌキ、俺も酔っぱらってきたぞ。

タヌキじゃないって、オバリアン侍従ぅなの、ほんとにあたし、しっぽないしぃ。

それでな、コレステロールからいろいろな酵素の働きで、巡りめぐって、女性で卵巣ホルモンがいっぱい作られるみたいに、男じゃ精巣でテストステロンって言う男性ホルモンがいっぱい作られる。

でな、その強力な男性ホルモンで男は男らしくなるのさ。

それでぇ、あんたはホルモン食べるくせにその男性ホルモンがもう無いんだ。

うるせぇな、だけど、ホルモンてやつは、男にも少しばかり女性ホルモンができる。

フーン、じゃ大使は女性ホルモンばっかりか。

なに言ってる、いいか、それとおんなじで、女性にも少しばかり男性ホルモンができる。

大将ぉ、大根とテキーラもう一杯ちょうだいな。

うーん、ここからがいい話なんだぜ、やめとくか。

あんた、大使ねぇ、いい話って何よ、気になるでしょ、あたし、この年になっていい話ってないのよね。

だろうね、でね、いい話ってのは、そのぉ、卵巣からエストラジオールと呼ばれる強力な女性ホルモンがいっぱい作られる、いわば女性を女性らしくするホルモンだな。

そいつは、男性ホルモンのテストステロンからできるって言われてる。

これはね、アロマターゼって酵素が働くんだって言われてる、アロマって言ってもコーヒールンバじゃないぞ。

えっ、アロマって言ったらいい匂いってことでしょ、じゃ、あたし、コレステロールいっぱいあるし、酵素だって毎日飲んでるし、その強力な女性ホルモンたくさんできるじゃない、道理で自分でも良い香りがすると思ってたわぁ。

おぉーい、そりゃ酒臭いか加齢臭じゃないのかい。

おい、オバリアン侍従、君くらいのご年齢になりますとぉ、ホルモン作る卵巣が働かなくなっているの。

えぇぇ、そんなのヤダ、ヤダ。

ところでな、オバリアン侍従よぉ、アダムとイブの話って知ってるか。

知ってるわよ、あの葉っぱ付けてるやつでしょ。

まぁな、この世界の創造主がな、最初にアダムを作ったのさ、まぁ男性だな、それで一人じゃかわいそうだってことになった。

そりゃ、寂しいでしょうね。でも、あんた一人じゃないでしょ。

まぁね、それで世界の創造主がさ、アダムの肋骨を一本取ってイブを作ってあげたのさ。

良い話じゃないの、知らなかった。

僕だって、何年か前に肋骨を一本取ったけど、背骨の代わりに移植しただけだな、イブになってくれれば良かったのに。

なにバカ言ってるのよ、おかげで今こうして飲めてるんじゃないの。

しかしな、創造主はすごいね、アダムからイブが作られたみたいに、男性ホルモンから女性ホルモンができるのって、創造主が考えたんかね。

ホントねぇ。

注)①オバリー(ovary)、②オバリアン(ovarian)、③オバタリアン(ずうずうしく,羞恥心がなく,自分勝手なおばさんのこと。(四コマ漫画の題名からの合成語)。④コーヒールンバ(1961年に西田佐知子さんがヒットさせた)

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